「ピアノ」って誰もが知ってて見た事も、聴いた事も、弾いた事がある方も多いですよね?
でも意外と知らないのがそんなピアノに隠された『秘密』。
今日はそんな「ピアノ」の秘密をひとつずつ徹底解剖してみましょう!
目から鱗の新情報が満載です!
ピアノっていつからあるの?
今で言う「ピアノ」はイタリアのチェンバロ製作家 ”バルトロメオ・クリストフォレ” が「クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ」という名の鍵盤数54鍵の楽器として1709年製作したものが現存している世界最古のピアノだと言われています。
1709年頃の試作から始まり当時は権力や財力を持つ人たちが沢山のお金を使って楽器を作らせていました。
その後このピアノ製作を受け継ぎコピーを作り沢山の楽器製作者によって鍵盤を押す際の力加減がハンマーに伝わりやすい様な仕組み等も工夫されピアノは発展して行きました。
日本に最初にピアノが入って来たのはドイツの医師シーボルトによって1823年(文政6年)長崎に持ち込まれ、こちらが現存する最も古いピアノです。
このピアノは現在では山口県萩市の「熊谷美術館」に展示・保管されています。
『アップライトピアノ』と『グランドピアノ』どっちが先?


『アップライトピアノとグランドピアノ、どっちが先に生まれたの・・?』
その答えの前にこの二つのピアノの違いについて触れてみましょう。
「グランドピアノ」・・・弦が水平方向に張られた、平型のピアノです。鍵盤の上下の動きが下から上に向かうハンマーの動きに変えられて垂直方向に弦を打ち音が出る仕組みになっています。

「アップライトピアノ」・・・弦が垂直方向に張られた、縦型のピアノです。鍵盤の上下の動きは水平方向の動きに変えられ演奏している人から見て前の方向に向かって弦を打ち音を出す仕組みになっています。

弦を水平に張るグランドピアノの方がハンマーの動きは自然なのですが問題はかなりの面積を取る事です。その為、弦を垂直に張った場所を取らない家庭用の楽器としてのアップライトピアノが生まれました。
ということで正解は・・
『ピアノフォルテ』と『フォルテピアノ』 何それ!?

「ピアノ」という名前で親しまれているこの楽器の正式名称は「ピアノフォルテ」。
「ピアノ」は前述のクリストフォリが発明した「クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ」が短縮されて⇨「ピアノフォルテ」になりさらにそれが短縮されて「ピアノ」と呼ばれる様になりました。
でも歴史の途中ではその名称がピアノとフォルテが逆になった「フォルテピアノ」との呼び名も登場して「ピアノフォルテ」「フォルテピアノ」2種類の名前があったと言われています。頭がこんがらがっちゃいそうですね。
ピアノはなぜ黒なの!?
ピアノと言えば艶のある上質な漆黒の黒。
でも以前はピアノと言えば木目や絵画の施されたものが主流でした。ヨーロッパでは「家具」としての要素が強かったからだと言われています。
ではどうしてそんな「装飾的なもの」から今主流の「黒」へと変わって行ったのか・・。
それは幕末に日本文化の刀や浮世絵がヨーロッパに伝わり、その際に「漆」が一緒に海を渡ったからだと考えられています。黒=高級の価値観から広く普及して行った可能性があります。漆はピアノを強敵の湿気から守る重要な役割も果たしています。
漆による「黒」から現在では「ポリエステル」の塗装をする事が多くなりました。経済的な理由の他にポリエステルは乾くと強硬になり木の持つ響きを減少させないと言う嬉しい利点があるからです。
塗装の方法は塗料の中に板を入れて行います。30分程度で固まりその後機械による研磨でピカピカに仕上げていきます。

鍵盤の色も本当は自由!
鍵盤の色に関しても特に決まりはありません。
でもピアノと言えばやっぱり「黒と白」が一般的です。
ピアノの前身の「チェンバロ」には今のピアノの白と黒が逆のものがありました。それがなぜなのかはっきりした理由は分かっていませんが「貴婦人の指を綺麗に見せる為」と言う説もあります。
鍵盤に使われる塗料は白鍵では象牙、黒鍵は黒檀が昔は一般的でしたが象牙の手触りの良さは素晴らしいものですが次第に象牙は高価になり入手困難になり現在ではアクリル系プラスチックが材料として用いられています。

日本では使わないキャスターの謎
グランドピアノの脚には3つ、アップライトピアノの脚には4つのキャスターがそれぞれ付いています。
でも大きく重いピアノを移動する際にこのキャスターでゴロゴロ移動している光景は見た事がありません!
日本ではグランドピアノは移動専用の台車、アップライトピアノは専門業者が太くて頑丈な帯を肩に掛け2人で上手に重さをコントロールしながら運びます。せっかくキャスターがあってもそのままゴロゴロ運ぶと畳が擦り切れたり床に無数の傷が付いてしまう大惨事になるからです。
ヨーロッパでは石造りの家が多い為そのまま転がしても問題無いと言う事なのでやはりピアノはその生産数が昔から多いヨーロッパ仕様のものが現在でも主流なのかも知れませんね。
ピアノの大きさや重さってどのくらい?
家庭用として普及している「アップライトピアノ」は重さ200〜250kg、高さ115〜130cm、幅145cm以上、奥行き55〜68cmでアップライトピアノで演奏する為には2畳以上のスペースが必要になります。
「グランドピアノ」は一般的なもので重さ300〜350kg程ですが重さも奥行きもその機種によって沢山の種類があります。グランドピアノは低音域の弦がより長い方が表現力が豊かになる為、その奥行きにはかなりの差があります。YAMAHAやKAWAI、スタインウェイのコンサートピアノでは長さ約275cmです。
メーカー毎の自由な設定があるのもグランドピアノの特徴です。
ピアノの弦は1つの音に対して1番低い音は1本、低音域で2本、中から高音域は3本の弦を使っています。ピアノ1台につき約230〜240本の弦が張りめぐらされています。
弦は鋼鉄製で1本につき約80kgの力が掛かっています。ピアノ1台分の張力はおよそ20t!!!
映画の特殊撮影などで人を吊り下げるにも1番細い弦でも200kg程度は楽々吊る事が出来るそうです。驚きですね!

鍵盤の重さの調節
ピアノは1台毎に個性を持っています。この世に「同じピアノ」は存在しません。
響きが良くて華やかな音のする鍵盤は「軽い」と感じるでしょうし反対に響きが悪く暗い感じのする鍵盤は「重く」感じると思います。
自分の持っているピアノを演奏者の好みによって「軽く」「重く」調整することは可能です。
深さの調節として鍵盤の深さは10mm程なのでその幅の範囲内で紙を抜き差しして深さの調節を行います。9.5mm位にすると運動量が減る為「軽い」と感じ逆に10.2mm位にすると運動量が増える事で「重く」感じます。
また、鉛を入れる事で重量そのものに変化をつける場合もあります。打鍵するとハンマーが弦を叩いて音が出るので中央に支点がある運動(てこの原理)を利用してグランドピアノは手前部分に鉛を入れ、アップライトピアノは奥の鉛を抜く事で「軽く」する事が出来るのです。

3本のペダルの役割を教えて!(音声&楽譜付き)
「グランドピアノ」にも「アップライトピアノ」にも3本のペダ流がついていますがこの役割について細かくご紹介していきます。

ラウドペダル(右端)
一番右端にあるペダルは「ラウドペダル」「ダンパーペダル」「サスティニングペダル」と呼ばれ音を響かせる機能を持っています。ペダルを踏むとダンパーという部分が押さえていたピアノ弦を解放し音を共鳴させます。そうする事で弦の響きによって強く美しい音が出ます。
この「ラウドペダル」は1777年に作られたピアノで使用されたのが最初だと言われています。
このペダルを使うと美しくなめらかに音が響きます。ドビュッシー「アラベスク第1番」でお楽しみ下さい。


もしドビュッシーに興味のある方はぜひこちらの記事もどうぞ♡

ソフトペダル(左端)
左端にあるのが「ソフトペダル」グランドピアノでは「シフトペダル」と呼ばれることもあります。このペダルは弱音機能を持っています。アップライトピアノではこのペダルを踏むと全てのハンマーが弦に近付き通常よりも打弦の距離が縮まります。それによって弦への当たりが弱くなるので音が弱く柔らかになります。
グランドピアノではこのペダルを踏むと鍵盤全体が右に傾き一緒にアクションも移動しこれまで打っていた弦から位置を変更して弦を打ちます。それまで3本の弦を打っていたものが3本に減るものもありそれによって音色が多彩に変化するのです。
マフラーペダル(アップライトピアノ真ん中)
アップライトピアノの真ん中のこのペダルは音量を極端に小さくする装置です。騒音問題等によりかなり普及して行きました。マフラーペダルを踏むとハンマーと弦の間にフェルトが入り音が小さくなる仕組みです。
ソステヌートペダル(グランドピアノ真ん中)
グランドピアノの真ん中にあるこのペダルは打鍵して音が鳴っている時に踏むと止音装置であるダンパーが弦から引き離され鍵盤から指を離してもその音だけが長く響く機能です。普段はあまり使う事のない機能ですがうまく活用すれば演奏効果が増します。
まとめ
みなさんが知ってる様で知らないピアノの中身を解剖してみました。
「こんなピアノの事って知らなかったなあ・・」
「結構ピアノも面白いな・・」と思って頂けたら嬉しいです。
ピアノに関する雑学、この回だけではまだまだお伝え出来なかったので「お楽しみページ」でまたお届けしますね。
第2弾&第3弾もこちらからどうぞ♡


また次の回でお会いしましょう♡

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