ピアノ教習者が必ず練習する【ブルグミュラー25の練習曲】。
全25曲の小品集ですが1曲1曲、とても味わいのある素敵な曲ばかりです。
今回はそんな【ブルグミュラー25の練習曲】の冒頭部分を楽譜と音声、その曲の「練習の手引き」記載のワンポイントアドバイスを分かりやすく簡潔に添えてお届けします。
初めて触れるこの曲集をちょっぴり先取りする事で楽しく練習して頂けると嬉しいです。
1番「すなおな心」〜5番「無邪気」
1番【すなおな心】

長いスラーのメロディーを柔らかく優しい音でなめらかに歌わせて弾くための練習です。
2番【アラベスク】

16分音符を軽やかに弾く課題のための曲でスタッカートは音の短さよりも「軽さ」を大切に弾きましょう。16分音符は手首のローリングで重心移動を容易にすれば少しでも早くなめらかに弾く事が出来ます。
3番【パストラル(牧歌)】

装飾音符を絡めて旋律を美しく歌わせて弾くための練習です。
4番【小さな集い】

初めの6小節を聴いただけで「これから何かが始まるのかな」とワクワクさせる様な弾き方を心がけましょう。
5番 【無邪気

連続する16分音符をレガートで一息に弾く練習であり8分音符や4分音符が短くなってしまわない様に同じテンポできちんとしたは拍節感を持って弾く事が大切です。



6番「進歩」〜10番「やさしい花」
6番 「進歩」

左右の手で10度の並進行をバランスよく弾く事がこの曲の課題です。
7番 「清らかな小川」

右手の1の指で弾く保持音のつながりがメロディーとしてクリアに聴き取れる様になる事、つまり片手の中での異なる声部の聴き分けがこの曲の課題になります。
8番 「優しく美しく」

第3指を使って出来るだけレガートに弾く練習をして下さい。重心の移動点を定めてその動き以外の一切に無駄な力を入れない様にする事がポイントです。
9番 「狩(かり)」

この曲で初めての見開き2ページの曲を体験する事になります。最初のスタッカート部分は鋭く、それ以外は軽い音で弾いてみましょう。
10番 「やさしい花」

音楽をフレーズとして捉え2音ずつのブツ切りにならない様に注意して弾きましょう。


11番「セキレイ」〜15番「バラード」
11番 「せきれい」

「セキレイ」は水辺に住む形の美しい小鳥で長い尾を上下に動かします。この曲はそんなセキレイの様子をスタッカートでうまく表現しています。
12番 「別れ」

3連符の連続によって5本の指の分離を促すための練習です。3連符のリズムが右手から左手に移る際も統一されたテンポで流れが止まらない様に気をつけましょう。
13番 「コンソレーション(なぐさめ)」

この曲はエチュードとしての要素や課題をたくさん持っています。最初の7小説は右手の指のトリル練習、次からの小節では右手の主旋律とそうでない音との2声部の弾き分けなど結構沢山のテクニックポイントを有しています。
14番 「シュタイヤー舞曲」

シュタイヤー地方の民族舞踊曲です。短前打音や複前打音などの装飾音符のついた音はアクセントとして用いられているので前の拍の音価を削らずに左手の同じ小節の拍と同時に弾きましょう。
15番 「バラード」

この曲は小品ながらミステリアスな暗い雰囲気から始まり突如、同主調の明るい展開になったと思ったらまた場面が展開し最後の10小節でそれが幻であった事を物語るドラマに満ちています。



16番「ちょっとした悲しみ」〜20番「タランテラ」
16番 「ちょっとした悲しみ」

この曲の16分音符は和音の響きを作るつもりでさりげなく弾きましょう。シンプルなメロディーを右手でも左手でもいかに美しく歌わせて弾くかが大切です。
17番 「おしゃべりさん」

指換えを伴う同音連打とその後に続く度数の開いた音の確実な打鍵がこの曲の課題になります。指先は手前に軽く払う様なタッチで弾くと良いです。
18番 「気がかり」

初めから終わりまで同じ長さの速い動きの音符で進行します。この曲は2小節あわせて4拍子の様に感じて弾くととても弾きやすくなります。
19番 「アヴェ・マリア」

オルガン伴奏の教会合唱音楽と言うイメージを持って弾きましょう。メロディーとなる音の流れがよく浮かび上がる様に各声部の音量を加減してみて下さい。控えめな音量で弾く方が美しくなります。
20番 「タランテラ」

6/8拍子、速いテンポのこの曲はイタリア発祥の民族舞踊で「タランテルロ」という毒グモに噛まれた者が踊り狂って亡くなった事に由来すると伝えられている程激しい舞踊です。この曲は25曲中、14番の「シュタイヤー舞曲」と共に珍しく「f」で始まります。(他の曲は全て「p」や「pp」で始まる)


21番「天使の合唱」〜25番「乗馬」
21番 「天使の合唱」

この曲の美しさを生かすためにもこの曲の演奏には可能な限りペダルを使用すると良いです。いかに速く指を動かすかやいかに強く打鍵するかと言う事だけがピアノのテニックではなく音楽の内容にふさわしい音を指のタッチやペダルを使って作る事が本当の意味でのテクニックであると言えます。鍵盤は「叩く」ものではなく「必要な音」を引き出すためのものです。
22番 「バルカロール(舟唄)」

右手のメロディーの音は音程が飛ぶ度にアクセントがつかない様にどの音も柔らかく歌わせて弾きましょう。
23番 「再会」

両手における和音連打のための練習曲です。基本的にはリスト・スタッカートの奏法を身に付ける事が出来ます。「pp」から「f 」目での幅広い強弱を指示通りに演奏することはかなりダイナミックな演奏になり緻密に計画されたエチュードと言えます。
24番 「つばめ」


手の交差のための練習曲です。25曲の中でも手の交差を目的とした曲は初めてです。手を交差させる際の具体的な演奏法と「アイ・ハンド・スパン」(指が実際に音を出している瞬間、目は既に次の小節の楽譜やキーポジションを見ていなければならない)の練習でもあります。弾いている左手が弧線を描いて行き交う優雅な動きこそが「つばめ」の飛翔と言えるでしょう。
25番 「乗馬」


和音のスタッカートと音階のレガート奏法、そして何より音域を広く使う練習です。これまで学習した事を広範囲な音域で復習できる様に書かれた全25曲の総集曲だと言えるでしょう。


まとめ
【ブルグミュラー25の練習曲】をその曲の雰囲気が分かる範囲での楽譜と音声、ポイントでまとめてみました。
数ある小品集の中でもこれほど沢山の要素を兼ね備えた各曲が素晴らしい曲集を私は他には知りません。
皆さんにも1曲1曲の雰囲気やそれぞれのテクニックを併せて楽しんで頂けると嬉しいです。
また次の回でお会いしましょう。








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